現場の声を活かす！デジタルとアナログ融合で生産性1.5倍を目指すサンエー精機の変革

株式会社サンエー精機は、工作機械部品などを製造する企業です。ミクロン単位の加工精度と多品種小ロット生産への対応力で高い信頼を得ていますが、2013年、山本伊智郎社長就任後、アナログな業務プロセスに課題を感じ、経営改革に着手しました。


まず、2014年には生産管理システムを導入。二次元コードを活用することで、1000点にも及ぶ部品の進捗状況をリアルタイムで把握できるようになり、取引先からの問い合わせ対応も迅速化しました。受注データ入力はEDIシステム化し、作業時間を約8割削減、ミスも解消しました。


一方、図面や作業指示書は現場の使い勝手を考慮し、紙媒体のままデジタル化せず、PDF化して検索機能を追加することで利便性を向上させました。


2015年からは、生産管理システムから得られるデータ（受注状況、材料費、生産額、不具合件数など）を全社員と共有。月次方針説明会で分析し、経営判断や現場での迅速な意思決定に役立てています。2022年には社内SNSを導入し、現場からの改善提案を促進しています。


さらに、社員一人ひとりの成長目標を明確化した「My Wayシート」を作成し、四半期ごとの面談で振り返り、会社と従業員の目線を一致させる取り組みも行っています。


2026年には、現在3カ所に分散している工場を新社屋に集約。生産能力を現在の1.5倍に引き上げ、半導体製造装置向けスピンドルの受注拡大を目指しています。


サンエー精機の成功は、デジタル技術とアナログな現場作業の最適な融合、そしてデータ活用による経営の見える化、全社員の経営参画という三位一体の取り組みによるものです。中小企業にとって、非常に参考になる事例と言えるでしょう。