彫刻師・関口文治郎が故郷へ贈った、時を告げる「半鐘」の物語

群馬県桐生市指定重要文化財である「関口文治郎の半鐘」は、彫刻師・関口文治郎が師匠と共に埼玉県妻沼の聖天山歓喜院の社殿再建に携わった際、完成を記念して故郷の沢入観音堂に寄進したものです。

文治郎は享保16年（1731年）にこの地で生まれ、彫刻師として卓越した才能を発揮しました。歓喜院工事で師匠の右腕となり、その後も各地の社寺に数々の名作を残しました。

この半鐘は、第二次世界大戦の難を逃れ、一時的に火の見櫓に設置された後、観音堂に戻され大切に保存されています。半鐘とは、寺院の梵鐘より小型の釣鐘で、本来は法要の合図や時報に使われていましたが、江戸時代以降は火災警報や消防団招集にも用いられました。

現在、この半鐘は通常非公開となっています。